前科は消える?前科を調べることはできる?

誰しも前科は消えて欲しい、消し去りたいと思うものです。また、一度前科がついてしまうと、「他人が調べることができるのではないか」と不安になる方もおられると思います。

そこで、この記事ではまず、

  • 前科、前歴の違い

を解説した上で、

  • 一定期間が経過すると前科は消えるのか?
  • 前科の効力(刑の言渡しの効力)の消滅とは具体的にはどんなことを意味するのか?
  • 一般人が前科を調べることができるのか?

という疑問に対して、弁護士が詳しく解説してまいります。

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1.前科とは

まずは、前科や前科と前歴の違いから確認しましょう。

⑴ 前科とは

前科とは、疑いをかけられている罪について起訴され刑事裁判で有罪とされ、その裁判が確定したことで「あなたはその罪の犯人です」と認められた証のことをいいます。捜査機関(検察、警察)に犯罪が発覚すると、刑事事件は「捜査(取調べなど)→刑事処分(起訴、不起訴)→刑事裁判(起訴の場合)→判決・命令→確定(不服申し立てができなくなった状態)」という流れで進んでいきます。前科は、この刑事裁判の判決・命令によって有罪とされ、その裁判が確定した後にはじめてつきます。つまり、何かの罪の捜査を受けている、起訴された、刑事裁判を受けている、などというだけでは前科はつきません。

前科の情報は検察庁で管理され、検察庁は特定の機関から照会があった場合にのみ前科調書という書類を作成するなどして前科の有無及びその内容を回答しています。

前科は死刑、懲役、禁錮のほか、罰金、拘留、科料の刑罰を受けた場合でもつきます。また、前科は実刑か執行猶予かに関係なくつきます

なお、市区町村の犯罪人名簿作成のため、前科の情報が検察庁から市区町村へ通知された場合は、市区町村では前科のことを「犯歴」と呼んでいるようです。

未成年者(20歳未満の者で、刑事事件では「少年」と呼ばれます)が刑事事件を起こした場合は、基本的に刑事裁判や刑罰を受けることはありません。刑事裁判や刑罰を受けなかった場合は、未成年者に前科がつくことはありません。

⑵ 前歴との違い

前歴とは、罪の「疑い」をかけられた証のことをいいます。前歴は、罪の「疑い」をかけられただけでつきます。したがって、前歴は、捜査を受けた、逮捕された、刑事裁判を受けた、などというだけでつきます。検挙歴、逮捕歴という場合は前歴のことを指します。

前歴の情報は警察で管理され、照会するのも警察官だけです。回答に作成される書類は犯歴事項照会回答書です。

前科と前歴の違いを表にまとめると以下のとおりとなります。

つく時期管理する機関・人書類証拠価値
前科刑事裁判が確定した後検察庁(検察事務官)前科調書強い
前歴犯罪の嫌疑を受けた後警察(警察官)犯歴事項照会回答書前科より弱い

2.前科は消える?~前科の効力の消滅との違い

ここでは、前科は消えるのか、前科の効力が消滅するとは具体的にはどういうことなのか解説します。

⑴ 前科は消える?

一度ついた前科は消えません。

つまり、前科は人が死亡するまで一生ついてまわることになります。

⑵ 前科の効力の消滅とは?

他方で、一定期間が経過すると、前科そのものは消えませんが、前科の「効力」が消滅することがあります。なお、前科の効力が消滅するとは、正確には「刑の(言渡しの)効力が消滅する」といいます。

① 前科の効力とは?

たとえば、免許・資格を必要とする職では一定の刑以上の前科がつくと欠格事由にあたり、当然にその職に就けない(当然に職に就けなくなる欠格事由のことを絶対的欠格事由といいます)、あるいは就けなくなることがあります(絶対的欠格事由に対して任意的欠格事由といいます)。当然に就けない職として、たとえば弁護士があります。弁護士については弁護士法という法律の7条に欠格事由の規定が設けられています。

(弁護士の欠格事由)
第七条 次に掲げる者は、第四条、第五条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない
一 禁錮以上の刑に処せられた者

二~四号 略

「禁錮以上」とは禁錮、懲役、死刑を意味します。「処せられた」とは前科がついたことを意味します。つまり、禁錮以上の刑の前科を有すると弁護士資格を取得できず、弁護士の職に就けないのです。

また、欠格事由にあたると就けなくなる可能性のある職として、たとえば、医師、看護師があります。医師については医師法という法律の4条に、看護師については保健師助産師看護師法という法律の9条に欠格事由の規定が設けられています。

第四条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある
一号~二号 略
三 罰金以上の刑に処せられた者
四号 略

第九条 次の各号のいずれかに該当する者には、前二条の規定による免許(以下「免許」という。)を与えないことがある
一 罰金以上の刑に処せられた者
二号~四号 略

医師、看護師については、罰金以上の刑の前科を有すると医師免許、看護師免許を取得できない可能性があるのです。

② 前科の効力が消滅するとどうなる?

では、前科の効力が消滅するとどうなるかといえば、免許・資格との関係でいうと、免許・資格を必要とする職に就けるようになります。つまり、前科の効力が消滅すると、弁護士法上の「禁錮以上の刑に処せられた者」ではないことになります。また、医師法上、保健師助産師看護師法上の「罰金以上の刑に処せられた者」ではないことになります。

③ 前科の効力が消滅するまでの期間は?

そこで、気になるのがいつ前科の効力が消滅するのか、ということではないでしょうか?前科の効力が消滅するまでの期間は実刑の場合と執行猶予の場合で異なります。

ア 実刑の場合(刑法34条の2

実刑の場合、前科の効力が消滅するまでの期間は、以下の通りです。

・禁錮以上の刑(死刑、懲役、禁錮)・・・10年

・罰金以下の刑(罰金、拘留、科料)・・・5年

※懲役、禁錮の長短、罰金の多寡は関係なし。

もっとも、上記の期間、再犯して罰金以上の刑に処せられていないことが条件です。

イ 執行猶予の場合の前科の効力の消滅期間(27条)

執行猶予の場合、執行猶予期間が経過すると前科の効力が消滅します。執行猶予期間は1年から5年の範囲内で裁判官が決めます。たとえば、判決で裁判官から4年間執行猶予の言渡しを受けた場合は、その裁判の確定の日から4年が経過した後、前科の効力が消滅します。

3.前科の効力が消滅するまでの期間~ケース別

ここでは、ケース別に前科の効力が消滅するまでの期間をみていきたいと思います。

⑴ 略式起訴された場合~5

略式起訴とは略式裁判を開くための起訴です。略式裁判とは検察官が裁判所に提出した書面のみの審理に基づく裁判のことです。略式裁判では「100万円以下の罰金又は科料」までしか科すことができません。したがって、略式起訴、略式裁判を受け前科がついた場合、前科の効力が消滅するまでの期間は5年です。

なお、略式起訴、略式裁判となり得る罪は、以下のとおり①罰則に罰金、科料しか設けられていない罪、あるいは②罰金、科料が選択刑として設けられている罪です。

① 罰則に罰金、科料しか設けられていない罪(主なもの)

罪名罰則
過失傷害罪(刑法2091項)30万円以下の罰金又は科料
軽犯罪法11号から34号までの罪拘留又は科料

② 罰則に罰金、科料が選択刑として設けられている罪(主なもの)

罪名罰則
過失運転致傷罪(交通事故)7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金
暴行罪2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料
窃盗罪10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
盗撮1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
痴漢2年以下の懲役又は100万円以下の罰金

⑵ 交通違反で検挙された場合~10年又は5

交通違反といっても酒気帯び・酒酔い運転、無免許運転、信号無視(看過)、スピード違反など様々あります。いずれの罪にも懲役、罰金の罰則が設けられていますから、前科の効力が消滅するまでの期間は、懲役を科された場合は10年、罰金を受けた場合は5年です。

なお、酒気帯び運転、酒酔い運転、無免許運転は交通3悪と呼ばれ、刑事手続が適用され、裁判で有罪とされば懲役、罰金の刑罰を科されます。他方、信号無視、スピード違反など交通違反の中でも比較的軽微な違反は、刑事手続とは異なる交通反則通告制度が適用されることがあります。その場合、検挙した警察官から通称、青切符と呼ばれる書面の交付を受け、その書面に記載された反則金を納付することによって手続が刑事手続に移行することなく終了します。この場合、前科はつきません。反則金は罰金などの刑罰と異なるからです。

⑶ 万引きで検挙された場合~10年又は5

万引きは窃盗罪にあたります。

そして、窃盗罪の罰則は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですから、懲役を科された場合の前科の効力の消滅期間は10年、罰金を科された場合は5年となります。

4.前科を調べることはできる?

一般の方が前科を調べることはできません

前記1のとおり前科を管理しているのは基本的には検察庁です。そして、検察庁が一般人からの前科の照会に応じることありません。検察庁は警察や市区町村など特定の機関から照会があった場合にのみ回答しています。

また、検察庁は市区町村に前科(道路交通法違反、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反などでの罰金以下の刑に関する前科を除く)の情報を提供しています。これは市区町村の犯罪人名簿の作成のためです。犯罪人名簿は、住民の選挙権・被選挙権の有無を確認したり、団体からの欠格事由の有無に関して照会があった場合にこれに回答するために作成されます。したがって、市区町村がそうした団体以外の機関からの照会に応じることはありません。また、たとえ本人やそのご家族からの照会にも応じることはありません。市区町村の犯罪人名簿に関する事務規定では「警察、検察庁、裁判所、あるいは法律により特定の者の資格調査等のため関係行政庁から照会があった場合」にのみ、回答に応じるとされています。

以上から、前科を管理しているのは検察庁と市区町村で、検察庁と市区町村が一般の方からの照会に応じることはないことから、一般の方が前科を調べることはできないといえます

なお、報道によってネット上に逮捕歴、検挙歴(前歴)などが掲載されることがあります。そして、ネットに掲載される情報については誰でも調べることは可能でしょう。もっとも、ネットに掲載されている情報は「前歴」であって「前科」とはいえません。

5.恩赦で前科は消える?

恩赦とは、一定の基準を満たす方に対して、有罪判決を無効にする(大赦)、確定した刑の重さを軽くする(減刑)、制限された資格を回復する(復権)、判決の言渡しの効力を失わせる(特赦)、刑の執行を免除することをいいます。

このうち、令和元年に実施された恩赦は復権と刑の執行の免除でした。もっとも、復権の場合も刑の執行の免除の場合も一度ついた前科を消す効果まではありません。

6.まとめ

一度ついて前科が消えることはありません。しかし、前科を有していたとしても服役を終える、罰金の納付が終わる、前科の効力が消滅することで、前科がついてない場合と同様の生活を送ることができます。また、一般人が前科の有無を調べることはできませんから、前科がついたからといって必要以上に周囲に目を気にして生活する必要はありません。

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