
制限なく被疑者・被告人と接見できるという点が弁護士接見の最大の特徴です。
以下では、
- 弁護士接見の特徴
- 弁護士に接見を依頼するメリット
などについて弁護士が詳しく解説します。
弁護士に接見を依頼する場合のご参考としていただければ幸いです。
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この記事の目次
1.接見とは
接見とは、弁護士あるいは弁護士以外の人が、被疑者(起訴される前の人)・被告人(起訴され刑事裁判にかけられた人)が逮捕・勾留によって収容されている刑事施設(留置場、拘置所など)に出向き、被疑者・被告人と面会することをいいます。弁護士による接見(面会)を「弁護士接見」、弁護士以外の方による接見を「一般接見」ともいいます。
2.弁護士接見の重要性
逮捕・勾留されると日常生活とはかけ離れた生活を送らなければなりません。加えて、被疑者・被告人は捜査、刑事訴追の対象とされ肉体的にも精神的にも追い込まれてしまう可能性があります。かといって、周囲にいる人は面識のない方ばかりで、被疑者・被告人の味方になって活動してくれる方などいません。
こうした中、被疑者・被告人に味方してくれる唯一の存在が弁護士です。そして、その弁護士から捜査や刑事訴追に対するアドバイスを受けることができる唯一の機会が接見なのです。弁護士による接見は被疑者・被告人の肉体的、精神的支えとなるばかりでなく、不当な処分、不当な量刑、不当な判決(冤罪)を防ぐためにも大変重要や役割を果たしています。
3.弁護士接見の6つの特徴
弁護士接見の特徴は以下の6点です
⑴ 逮捕期間中から接見できる
逮捕期間中とは逮捕から勾留決定が出るまでのおおよそ3日間です。弁護士(国選弁護士以外)の接見はこの期間から可能です。他方で、基本的にこの期間中の一般接見は不可です。
なお、被疑者は、逮捕直後から捜査員による厳しい取調べを受けます。そして、その取調べで話したことがその後の刑事手続の中で重要なウェイトを占める場合があります。そこで、可能な限り取調べ前、あるいはその直後に弁護士と接見し、弁護士から取調べなどに関するアドバイスを受けることが非常に重要です。
⑵ 日時に関係なく接見できる
土日祝日でも接見できます。また、早朝、深夜を問わず24時間接見できます(もっとも、起訴前(被疑者の場合)に限り、捜査機関から日時を指定されることがあります)。他方で、一般接見は平日のみの限定された時間帯とされています。
⑶ 接見時間に制限がない
基本的に接見時間の制限はありません(ただし、接見室の運営上の制限はあります。また、起訴前(被疑者の場合)に限り、捜査機関から時間を指定されることがあります)。他方で、一般接見は15分あるいは20分です。
⑷ 接見回数に制限がない
一般接見は、1人につき1日1回です。
⑸ 立会人がつかない
立会人がつきませんから、事件のことなどなんでも気兼ねなく話せます。他方、一般接見では立会人がつきます。
⑹ 接見禁止が出ても接見できる
接見禁止とは被疑者・被告人と弁護士以外の方との接見を禁止することです。被疑者・被告人に接見禁止が出ると一般接見は不可となります。
4.弁護士接見で行ってくれること、依頼するメリット
弁護士が接見で行ってくれること、弁護士に接見を依頼するメリットは以下のとおりです。
⑴ 被疑者・被告人に対して
被疑者に対しては罪に対する認否、被疑者の希望を聴取した上で、それぞれに応じたアドバイスを行います。また、事件の流れや今後の見通しなどの説明についても併せて行います。
被告人に対しては、被告人の認否に応じた弁護方針を説明した上で、裁判の流れ、今後の裁判の見通しなどの説明を行います。また、裁判の打ち合わせも併せて行います。
また、予めご依頼者から伝言を預かり、被疑者・被告人に伝えます。また、接見後は、被疑者・被告人から預かった伝言をご依頼者に伝えます。さらに、可能な範囲で職場への事件等に関する説明も行います。このように、弁護士はご依頼者、職場との橋渡し役となることが可能です。
⑵ 接見を依頼した方に対して
接見の報告を行います。これによって、被疑者・被告人がどんな罪を犯したのか、罪について認めているのか否認しているのかなどを知ることができます。また、今後の見通しや事件に対するアドバイスも行います。これによって、今後依頼者として何をやるべきか、弁護士を私選で選ぶべきか国選で選ぶできか、費用はどの程度かかるのかなどの目安を知ることができます。
5.弁護士に接見を依頼した場合の費用(接見費用)
接見してくれる弁護士は当番弁護士、委任契約前の弁護士、委任契約後の弁護士(私選弁護人)、国選弁護人にわけることができます。
⑴ 当番弁護士
当番弁護士は、逮捕・勾留された方やそのご家族等からの要請に基づき弁護士会から派遣される弁護士です。弁護士を選ぶことはできません。
接見費用は無料です。ただし、当番弁護士の接見は1回のみです。また、当番弁護士は接見後の具体的な弁護活動は行ってくれません。接見した当番弁護士に接見後の弁護活動を依頼したい場合は、当番弁護士にその旨伝え当該弁護士あるいは当該弁護士が所属する法律事務所と委任契約を結ぶ必要があります。
⑵ 委任契約前の弁護士
委任契約前の弁護士は、逮捕・勾留の通知を受けたご家族等からの依頼に基づき、特定の法律事務所から派遣された当該事務所に所属する弁護士です。ご家族等が弁護士あるいは法律事務所を選んで依頼することができます。
接見費用は有料です。接見費用や内訳は法律事務所によって異なります。接見日当の相場は「1万円~3万円(税別)」で、接見日当とは別に交通費が発生する場合もあります。接見は1回のみで、接見後の弁護活動を依頼する場合はあらためて弁護士あるは当該弁護士が所属する法律事務所と委任契約を結ぶ必要があります。
⑶ 委任契約後の弁護士(私選弁護人)
委任契約後の弁護士(私選弁護人)は、逮捕・勾留された方、あるいはご家族等が弁護士あるいは法律事務所と委任契約を結んだ弁護士です。私選弁護人は接見のみならずあらゆる弁護活動を行ってくれます。接見もそのうちの一つです。
法律事務所によって接見費用が予め弁護士費用に組み込まれている場合と組み込まれていない場合があります。後者の場合は弁護士が接見にいく都度(接見回数は無制限)、接見費用(接見日当+交通費)が別途発生します。委任契約を結ぶ前に費用体系をよく確認する必要があります。
⑷ 国選弁護人
国選弁護人は、一定の条件(資力が50万円以下など)を満たす場合に、勾留決定後に裁判所によって選任される弁護人です。
接見費用は無料です。また、弁護士が必要と認めれば回数に関係なく接見してくれます。もっとも、国選弁護人は
・弁護士を選ぶことができない
・逮捕期間(逮捕から勾留決定が出る概ね3日間)は接見できない
というデメリットがあります。
早期釈放が希望で逮捕期間からの接見を希望する場合は、委任契約前の弁護士あるいは私選弁護人による接見を依頼する必要があります。
6.まとめ
弁護士接見は重要ですが、依頼した場合は費用が発生する場合もあります。また、弁護士の種類によって接見してくれるタイミングが異なります。メリット、デメリットを抑えた上で依頼することをお勧めいたします。
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