青少年健全育成条例の淫行の罪とは?成立要件、近年の判例を紹介

18歳未満の未成年者(青少年)に対して淫行した場合に、真っ先に問われやすいのが青少年健全育成条例違反です。

本記事では、青少年健全育成条例がどんな条例なのか淫行の罪はどんな場合に成立するのか、罰則はどうなのか他に問われる罪はないのか、などについて詳しく解説してまいります。

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青少年健全育成条例とは

青少年健全育成条例とは、青少年(※)の健全な育成を図ることを目的に、青少年にとって良好な環境を整備し、青少年の健全な成長を阻害するおそれのある行為を防止するための規定が設けられている条例です。

内容や名称の違いこそあれ、青少年を保護するための条例は各都道府県に必ず1つ設けられています。

あ各都道府県の青少年健全育成条例の名称
  • 岩手県:青少年のための環境浄化に関する条例
  • 東京都:東京都青少年の健全な育成に関する条例
  • 神奈川県:神奈川県青少年保護育成条例
  • 石川県:いしかわ子ども総合条例
  • 大阪府:大阪府青少年健全育成条例
  • 兵庫県:兵庫県青少年愛護条例
  • 福岡県:福岡県青少年健全育成条例

青少年健全育成条例でどんな規定が設けられ、どんな行為が禁止されているのかは、各都道府県により若干異なりますが、概ね共通して設けられている規定や禁止されている行為は以下のとおりです。

青少年健全育成条例に設けられている規定や禁止行為
  • スマートフォンによる青少年有害情報の閲覧防止措置に関する規定
  • 有害図書類の指定及び販売等の制限に関する規定
  • 有害図書類の陳列の制限に関する規定
  • 自動販売機等への図書類等の収納禁止区域に関する規定
  • 有害がん具類の指定及び販売等の制限に関する規定
  • 深夜におけるゲームセンター、カラオケ店等への出入り禁止に関する規定
  • いん行(淫行)又はわいせつな行為の禁止
  • 着用済み下着等の買い受け等の禁止
  • 裸などの自撮り画像等の提供を求める行為の禁止
  • 不法な行為が行われる場所の提供、又は周旋の禁止
  • 深夜に外出させる行為の禁止

このうち、「裸などの自撮り画像等の提供を求める行為の禁止」に関する規定については、スマートフォン等のインターネットに接続できる機器が急速に普及したことにより、インターネットを通じて、青少年が言葉巧みに騙されたり、脅かされたりして、自分の裸などの写真画像を撮影させられた上、LINE等を通じてメール送信を要求される「自撮り被害」が増加したことを受け、近年、設けられた規定です(設けてない都道府県もあります)。

※青少年

基本的に「18歳未満の者」のことをいいますが、都道府県によってその定義が異なります。

たとえば、東京都の場合は単に「18歳未満の者」としか規定していませんが、福岡県の場合は「18歳未満の者(他の法令により成年者と同一の能力を有するとされる者を除く。)」と規定しています。

「他の法令により成年者と同一の能力を有するとされる者」とはたとえば、婚姻した青少年のことです。

民法(753条)によると、婚姻した青少年は「成年(20歳以上の者)に達した」とみなされ、成年と同一の能力を有するとされます。

したがって、福岡県の青少年健全育成条例では、婚姻した青少年は「青少年」から除かれることになります。

青少年健全育成条例における「淫行の罪」とは

それでは、前述した青少年健全育成条例が禁止している行為のうち「淫行」についてみていきたいと思います。

相手が青少年であること

青少年の意義についてはすでに解説したとおりです。

相手が婚姻している青少年の場合は、保護の対象とならないこともあります。

青少年と認識していること

相手が18歳未満であることとともに、18歳未満であると認識が必要です。

青少年と出会った経緯、青少年とのやり取りなどから「18歳未満だ」と確定的に認識している場合はもちろん、「もしかしたら18歳未満かもしれない」と未必的に認識していた場合でも「認識がある」ということになってしまいます。

また、仮に、18歳未満であることの認識がなくても、「年齢の知情に関する過失犯処罰規定」によって処罰される可能性があり、青少年健全育成条例にこの規定を設ける都道府県自治体は多いです。

年齢の知情に関する過失犯処罰規定とは、たとえ18歳未満であることの認識がなくても、18歳未満であることを確認することにつき過失があった場合は、知らなかったことを理由として処罰を免れることはできないとする規定のことです。

反対に、過失がなく、処罰を免れるためには、青少年に年齢・生年月日等を尋ねるだけでは足りず、身分証明書の提出を求める、青少年の保護者に確認を取るなどの措置が必要と考えられています。

もっとも、ここまでする方は通常いないことから、青少年健全育成条例に年齢の知情に関する過失犯処罰規定が設けられている場合は、相手を18歳未満の者だと知らなかった場合でも処罰される可能性が高いといえそうです。

青少年健全育成条例に年齢の知情に関する過失犯処罰規定が設けられている場合に処罰を免れることができるのは、青少年の年齢確認につき具体的な行動を取るか、あるいは、青少年側から積極的に年齢を偽られるなどして、18歳未満であることを認識し得なかったことにつきやむを得ない事情がある場合に限定されるものと考えられます。

淫行又はそれに近い行為をすること

淫行とは、判例によると、「広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく,青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」と解されています。

性交とは「女性の膣内に男性の陰茎を挿入する行為」をいいます。

また、性交類似行為とは「実質的にみて、性交と同視し得る態様における性的な行為」をいい、手淫、口淫が典型ですが、その他の行為についても行為自体の性質や客観的な状況を総合考慮して個別に判断されます。

なお、判例は、淫行又は性交類似行為については、「青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような」という文言を付け加えて、限定的に解釈しています。

これからすると、真剣に交際している者同士、あるいは婚姻者同士の性交(又は性交類似行為)は「淫行」には当たらないということになります。

もっとも、交際については、行為者が「真剣に交際している」と思っていたとしても、青少年は「真剣に交際していない」と思っている場合もあります。

この場合は、年齢差、交際に至った経緯、交際内容、交際期間、行為の内容、行為後の状況などの諸事情から、行為者が上記のように思ってもやむを得ない状況かどうかが判断の分かれ道となります。

罰則、時効

罰則は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。

時効は、行為が終わった日から起算して3年です。

そして、たとえば、令和2122日に、青少年に対して淫行した場合の時効(期間)の満了日は「令和3121日」で、時効完成日は「令和3122日午前0時」です。

青少年健全育成条例違反(淫行の罪)の他に注意すべき罪と罰則

前述のとおり、単に青少年と淫行したという場合は、青少年健全育成条例の淫行の罪に問われるにすぎません。

もっとも、淫行の態様等によっては別の法律違反、別の罪に問われる可能性があります。

以下では、それらの罪についてご紹介してまいります。

児童買春の罪(児童買春・児童ポルノ禁止法違反)

児童(18歳未満の者)などに対して、お金を渡す、あるいは渡す約束をするなどして児童と淫行(性交、又は性交類似行為など)した場合に問われる罪です。

児童買春・児童ポルノ禁止法に規定されている罪で、罰則は「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」です。

児童にいん行をさせる罪(児童福祉法違反)

判例(最高裁判所平成28621日)によれば、「いん行をさせる」とは、「直接たると間接たるとを問わず、児童に対して事実上の影響力を及ぼして児童が淫行することを助長し促進する行為」と解されています。

つまり、児童に強制的にいん行をさせる、第三者をして児童といん行させるという意味ではなく、自ら主体となって児童といん行する行為も「いん行をさせる」に当たる可能性があるという点に注意が必要です。

児童にいん行をさせる罪は、たとえば、教師や塾講師の児童・生徒に対するいん行など、立場が上の者から下の者に対するいん行の場合に適用されることが多いです。

児童にいん行をさせる罪は児童福祉法に規定されている罪で、罰則は「10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科(懲役と罰金の双方に処されること。)」です。

強制性交等罪

13歳以上の者に対しては、暴行又は脅迫を用いて性交等(性交、口腔性交、肛門性交のいずれか)をした場合、13歳未満の者に対しては、単に性交等をした場合に問われる罪です。

13歳以上の者に対する性交等では、被害者の同意の有無や加害者が被害者の同意があることを誤信していた場合の故意(罪を犯す意図)の有無が問題となることが多いです。

もっとも、個人差はありますが、有効な同意ができるのは概ね16歳前後と言われており、たとえ、被害者が16歳以上であったとしても、同意の有無や同意があると誤信してもおかしくない状況だったか否かが慎重に検討されます。

他方で、13歳未満に対する性交等では、被害者の同意の有無に関係なく罪に問われます。

なお、13歳未満であることの認識が必要で、年齢の認識について問題となることがありますが、ここでも13歳以上と誤信したとしてもおかしくない状況だったか否かが慎重に検討されます。

強制性交等罪は刑法に規定されている罪で、罰則は「5年以上の有期懲役(上限20年)」と大変重たいです。

近年の青少年健全育成条例に関する判例

【判決日】令和2622
【裁判所】福岡地方裁判所
【判決内容】懲役2年 4年間執行猶予
【認定罪名】福岡県青少年健全育成条例違反

【事案の概要】

児童福祉司であった被告人が、児童相談所において、同所に一時保護されていた児童に対し、3回に渡って、口淫等の淫行したもの。

この裁判では、児童相談所において淫行が行われたこと及びそれが青少年健全育成条例の「いん行」に当たることについては裁判の争点になりませんでした。

他方で、検察官は、被告人と児童との関係が「保護責任者的地位のような関係性」にあることから、当該淫行が児童福祉法の「いん行させる罪」の「いん行」に当たると主張して児童福祉法違反の適用を求めました。

これに対し、弁護人は検察官の主張のようには評価できないと反論して福岡県青少年健全育成条例違反の適用を求め、当該淫行が児童福祉法の「いん行」に当たり同法違反が適用されるのか、福岡県青少年健全育成条例の「いん行」に当たり同条例違反が適用されるのかが問題となりました。

この点、裁判所は、「当該被告人と児童とは「保護責任者的地位のような関係性」にはなく、また、当該事案では、被告人により児童が淫行をすることを助長し促進する行為があったとも評価できないことから、当該淫行は児童福祉法の「いん行」には当たらないとして、児童福祉法違反ではなく福岡県青少年健全育成条例違反を適用する」と判示しました。

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早期釈放が可能となる

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まとめ

18歳未満の者に対して淫行した場合には、まず、青少年健全育成条例違反を疑われます。

また、態様によっては、条例違反よりも重たい罪に問われることもあるので注意しましょう。

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